神奈川県総合リハビリテーションセンター

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リハビリテーション

職能科 キャリア支援

職能科の特色

リハビリテーション部の一員として、病院組織内で職業リハビリテーションを実施している全国的にも数少ない部門です。患者さんの社会参加や職業を通じた自己実現に向け、自己決定が行えるように支援します。

職能科の役割

  • ・病院内に配置されている特色を活かして、社会参加に向けた支援および就労支援を行います。多職種連携による医学的な評価・訓練をもとに職業的リハビリテーションを実施します。
  • ・脳卒中・難病患者さんに対して、両立支援コーディネーターとして国の「治療と仕事の両立支援」に基づいた就労支援を行います。
  • ・高次脳機能障がいをお持ちの患者さんに対して、包括的全人的なリハビリテーションの考え方に基づく社会参加に向けた支援、および就労支援を行います。
  • ・脊髄障がい、難病患者さんなど、重度身体障がいをお持ちの方に対して、在宅就業に向けた就労支援を行います。また、在宅でのQOLを高めるための活動を支援します

職能科新人研修の流れ

入社5年目以降
高度専門性をもった職業指導員としての活躍

疾患に応じた支援プログラム開発ができる人材へ

(取り組み例)
  • ・高次脳機能障がい者の在宅支援プログラム・評価スケール開発
  • ・失語症者グループ訓練の実施、失語症者Webグループ訓練の試み
  • ・園芸・陶芸療法の開発・導入
  • ・回復期リハビリテーション段階における脳卒中当事者OB参加型プログラムの開発・実施
  • ・高次脳機能障がい者通院プログラム(多職種連携プログラム)における職能プログラムに関する実施・改良

地域支援機関・行政機関へ技術提供ができる人材へ

(取り組み例)
  • ・地域通所施設をめぐる高次脳機能障害者への支援プログラムに関する研究 (損保協会助成金研究への協力)
  • ・脳卒中患者の就労支援における患者、企業、地域関係・職種のネットワーク構築 (科研費研究への協力)
  • ・障害者職業生活相談員(独立行政法人高齢・障害・求職者支援機構実施)資格認定講習(神奈川)身体障がい者分野に関する講師の協力
  • ・神奈川県障害者IT利活用推進事業への委員協力
  • ・就労移行支援事業所等に対する職員研修講師協力

情報発信・ソーシャルアクションができる人材へ

(取り組み例)
  • ・学会への研究発表を通じて、社会制度・支援の在り方について提言
  • ・回復期段階から在宅就業を目指した高位頸髄損傷者への支援
  • ・神奈川リハビリテーション病院における脳卒中患者への復職支援
    上記2論文とも(職業リハビリテーション実践研究発表会)
  • ・当事者会(脳卒中)設立・開催に向けたサポート

先輩職員の声

職能科配属 作業療法士から

作業療法士として当院に入職し、作業療法科で3年間臨床を経験し、4年目からは職能科に異動し今に至ります。作業療法科での患者さんとの関りとして、入院中は自宅復帰や復職など患者さんそれぞれの目標に向けて治療介入がほとんどで、退院が一つ区切りとなってそこから関りが減っていくことがとても多い印象でした。職能科では、復職や新規就労を目標としており、退院後も介入は継続していきます。入院中の関りだけだと、退院後の生活について、“家での生活はうまく送れているのだろうか?”、“社会参加・自己実現はできているのだろうか”というような疑問や不安がありましたが、退院後もフォローできるため、そこの不安や疑問を解消できました。

それぞれの患者さんの身体機能や高次脳機能に合わせて、仕事における作業環境を整えることや、作業内容を考えていくことは、作業療法士として腕の見せ所だと考えています。例えば、頚髄損傷者の就労に向けてです。パソコンやスマートフォンの操作環境づくりだけでなく、長時間労働に必要な体力・作業耐久性づくり、長時間労働による褥瘡や変形などの二次的障害予防のための除圧や休憩方法の教育などを入院中から行っています。入院中から就労を目標に据え、実際に必要な作業を行っていくことは、患者さんのモチベーションに繋がることも多く、作業療法士としてもやりがいを感じます。

作業療法士として職能科で働くことに対して、作業療法科で学び、実践してきたこととは異なることが多く、はじめはとても不安がありましたが、経験豊富な先輩方に教育・研修をしていただき、不安は少しずつ減っていきました。患者さんのアセスメントやプランニングなどで疑問がある時には先輩方に個別に相談に乗ってもらったり、定期で行われる支援会議でアドバイスを受けられるので、安心して患者さんと向き合うことができます。また、職能科には作業療法士の先輩も1人配属されているので、作業療法士としての知識や技術も高めあうこともできています。

当院の職能科では、脳外傷や脳血管障害、脊髄損傷や神経難病など多種多様な疾患・障害をお持ちの方を担当することができ、医療者として様々な知識や経験を身に着けることができます。また、入院期から退院後の生活、復職・新規就労までフォローすることができる、全国的にも珍しい位置づけになっています。作業療法士としてのレベルアップだけでなく、この経験を外部に情報発信ができればいいなと考えています。

職能科 両立支援コーディネーター より (職業指導員 社会福祉士・精神保健福祉士)

両立支援コーディネーターとして、難病・脳卒中患者さんの就労支援を主に担当しています。病院スタッフとして患者さんの評価・訓練を担当するだけでなく、ご家族、地域の支援機関、企業の人事労務担当者や所属の上司、産業医をはじめとする産業保健スタッフの方々と連携を取りながら、多角的な支援の経験が積めることは職能科という職場の大きな魅力です。自分自身の将来のキャリアを考える上でも貴重な経験になると感じてます。

職能科では、毎年70名前後の就職・復職実績があり、多様な患者さんや企業に対応できるよう就労支援のスキルを常に研鑽することが求められます。自ら学習する姿勢が必要なため日々大変なこともありますが、幸いなことに研修や学会への参加に対して積極的に後押しをしてくれる職場文化があり、なにより患者さんの就職・復職に少しでも貢献できることは大きなやりがいを感じることができます。

常に勉強は必要ですが、個々人のライフワークバランスを尊重する職場で働きやすい環境が整っています。一人でも多くの方に職能科の業務に興味を持っていただき、入職をご検討いただけると嬉しく思います。

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