神奈川県総合リハビリテーションセンター

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脳外傷・高次脳機能障害

看護部

5A病棟概要

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入院患者脳損傷内訳の2018年

頭部外傷後、重度の身体、認知障害を持ち、急性期治療後のリハビリテーション医療目的のための治療ユニットです。患者様の年齢は 14歳から 88歳で平均年齢 42.17歳、男性が 82%を占めています。疾病は外傷性脳損傷(入院全体の 62%)を中心に脳血管障害・脳梗塞・脳炎・蘇生後脳症などで、重度の高次脳機能障害を伴っています。退院先は在宅 92% 転院 (施設復帰を含む) 8%となっています。

脳神経外科においては脳出血やSAH・事故に伴う術後のリハビリテーション看護も展開しています。入院時から担当看護師を決め、継続的な看護実践と退院後の方向性を明確にできるよう患者様、ご家族への指導をおこなっています。 より質の高い看護を提供できるよう、脳損傷クリニカルパスを使用し、他職種とともに情報交換を行い、包括的なチームアプローチを目指しています。

患者様・ご家族が高次脳機能障害を理解し、対応方法を知るためのアプローチとして、病棟環境の整備、生活リズムを作るためのスケジュール設定、病棟レクリエーションへの参集、家族講座の開催、脳外傷友の会、パンフレットの紹介等をおこなっています。

高次脳機能障害の特徴

イラスト
高次脳機能障害のある患者様は人、場所、時、状況について、継続して一貫した認識を維持するといった見当識の障害があり、自分自身の現在置かれた状況についての認識に欠けるといった症状を有することがあります。しかしこれは独立した障害ではなく、注意や記憶、認識の障害の結果ともいわれています。

一般に、記憶が保持できないために日付がわからなくなることは多いのですが、特に何についての見当識が保てないことがあるのか、作話の有無や見当識についての認識を調べることが必要となります。

安全判断が適切に行えない要因として、判断力の低下、注意障害、見当識障害、記憶障害、病識の欠如、固執、などが考えられます。それらのうちどの要因が、安全な日常生活の継続を困難にしているかを判断する必要があります。

情動の障害として

感情失禁
突然泣き出したり、笑い出したりと、場に応じて感情を抑制することができず、人前で表出してしまう状況。
易怒性
ちょっとしたことで感情的になり、周囲に攻撃的な言動をとりやすい状況。
固執
場面の変化に応じて柔軟に視点を変えられず、あることにこだわり、融通が利かなくなり、周囲と協調できなくなる傾向。
脱抑制
環境からの情報を理解し、正しく対応することができず、さらに自分が不適切な振る舞いをしても正すことができなくなってしまう状況。

※これらの情動の障害は、運動麻痺のように外見上明らかな症状でなく、社会生活を送る中で明らかになってくる障害です。
さらに、こうした症状が単一で現れるよりも、他の高次脳機能障害の症状と重複して現れることが多いこと、一時的な行動の変化である場合もありますが、持続し、支援する上で大きな障害になる場合もみられます。

取り組みとして

こうした患者様の入院生活を安全に送るため、5A病棟では離院・離棟防止に力を入れています。 院内の医療安全管理会議で作成したマニュアルを活用し、離院・離棟事故防止に努めています。ベッドサイドではセンサーマット・赤外線センサーの使用により患者様の行動パターンをリアルタイムに把握し、安全な看護介入をおこなっています。

平成18年11月からは「離院・離棟システム」として患者様が個別に識別できるアクセスコールのバージョンアップをおこない( 15の個別識別チャンネルを持ち、患者様個人の特定ができるシステムです)病院内 10箇所の出入り口に設置した受信機で患者様の離院・離棟を未然に防止することができるようになりました。

また、万が一病院の外に離棟した場合に備え、GPS発信機やGPS機能付の携帯電話(患者様個人で所有する携帯電話です)の導入もおこなっています。 これらのセキュリティーシステムはすべて患者様・ご家族に事前にご説明し、ご了解の同意を得た上で使用しています。

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