神奈川県総合リハビリテーションセンター

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脳外傷・高次脳機能障害

心理科

高次脳機能障害への心理科のアプローチ

心理科では、入院、外来の他、七沢自立支援ホーム、七沢学園といった施設に入所されている高次脳機能障害をもっておられる方々に対しても、さまざまなかかわりを持たせていただいております。
頭の病気やけがの後、どうも物忘れしやすくなった、ぼんやりしているなどの高次脳機能障害の症状が疑われる方に、神経心理学的な視点から検査を実施し、症状の有無や程度を確認させていただいています。諸検査から得られた情報は、主治医に報告し、ご本人やご家族にもお伝えするとともに、同じ患者さまに関わるリハスタッフで共有し、相互理解を深める一助とさせていただいています。

入院期間中の取り組みについて


朝の打ち合わせ(朝の体操)


図1 高次脳機能障害をもった方への支援>

朝の打ち合わせ(朝の体操)
図2 高次脳機能障害を持った方への心理的アプローチ

入院期間中は、図1のような考えに基づき高次脳機能障害を持った方が、入院生活を安心して過ごしていただくための取り組みを重視しています。
例えば高次脳機能障害に対応した病棟(5A)では、日課の内容や流れがわかり、安心して過ごしていただけるよう、その日のスケジュールの確認を行う「朝の打ち合わせ」を病棟やほかのリハスタッフと協力して行っています。朝、定時に病棟デイルームに集合して頂き、患者さま一人一人に用意されたスケジュール表をスタッフとともに確認したり、体操などを行い、一日のスタートからリズムをつける試みをしています。5~10分程度の短い集まりですが、社会的な集団参加への足掛かりともなっており、朝の体操はすがすがしく、好評です。

個別訓練では、入院・外来を通して、先ずは神経心理学的検査を実施し、その方の高次脳機能の状況を把握し、何が課題かを「知る」ように心がけています。次にその結果に基づき、その方の状況に合わせた「認知リハビリテーション」を中心に行っています。パズルやゲームなどの課題を通して、認知機能回復のための援助を行うとともに、できること・難しいことに触れていただき、ご自身の状況への「気づき」を促していきます。また、これらの訓練を通して、高次脳機能障害についての知識の整理や提供を行い、ご本人・ご家族も、症状を適切に捉えて向き合っていけるように、心理教育的なアプローチを実施しています。また、症状への気づきが進まれた方には、それゆえに起こる心理的な混乱や落ち込みなどを整理する場として心理面接も実施しています。課題に直面することが多くなるこの時期には、このような「ホッとする」場があることは、とても重要と考えています。ご家族に対しても、家庭復帰・社会復帰に向けて、ご本人への対応や家庭生活を送る上でのアドバイスをさせていただき、“混乱の起こりにくい安心してすごせる環境”を整え、安定した日課を送るためのノウハウを「身につける」ことができるよう支援していきます(図2)。

個別訓練のほか、状況に応じてグループ訓練も導入しています。トークやゲーム、ロールプレイなどを通して、楽しく過ごしていただきながらも、症状や障害を理解して対人場面での対応力・適応力を高めていただくことを目的をしています。

ご利用に際して

入院、外来、施設とも、心理科は医師の指示に基づいて検査・面接などを行っています。まずは担当のリハビリテーション医か主治医にご相談ください。

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