神奈川県総合リハビリテーションセンター

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脳外傷・高次脳機能障害

職能科

高次脳機能障がいのある方への就労支援

1.高次脳機能障がいのある方への就労支援

けがや病気によって高次脳機能障がいとなった方が、就職・復職して仕事を始めると、職場で様々な問題が起こることがあります。
例えば、仕事が覚えられない、ミスが多い、段取り良く仕事が進められない、すぐに疲れてしまう、臨機応変に対応することが難しくなるといったことがあります。
職能科では、職業相談や評価、訓練を通じて、高次脳機能障がいが職務遂行にどのように影響するのかを知ってもらい、ご本人・ご家族が安定した地域生活・職業生活に移行できるようお手伝いをしています。また、ご本人の職業生活を支える職場に対しても、支援を実施しています。

2.ご本人への支援

1)就労相談・職能評価
就労に関するご相談や各種作業検査を活用しての職能評価等を実施し、今までと変わらずに出来ている事、症状の影響で苦手になっている事を把握します。
職能評価を基に、ご本人・ご家族と今後の仕事に向けた希望を共有した上で、職業リハビリテーション計画を検討します。
2)個別プログラム

障がいの自己理解に向けた支援
作業に与える影響、疲労、代償手段の必要性「気づく」「知る」

様々な作業を通じて、ご自身の高次脳機能障がいが作業遂行にどのように影響するのか認識を深めてもらいます。
「苦手になっていること」には、代償手段や環境調整などの対応方法を身につけるお手伝いをします。

3)集団プログラム

障がいの自己理解に向けた支援
作業活動やピア・サポートを通して、後遺症・障がいが作業や対人交流に与える影響、代償手段や環境調整の必要性と効果的な方法などについて「知る」「気づく」「身につける」

事務系と実務系の2形態の「模擬職場」と「模擬会議」、また、言語聴覚士と協働の「失語症交流会」、臨床心理士と協働の「問題解決技能トレーニング」、採用面接練習や履歴書作成する「職業準備学習」などのグループワークを通して、当事者間の交流による障がいの自己理解を図ります。

4)実践プログラム

就職・復職時には、円滑な職業生活への移行を図るため、当院独自のプログラムで治療の一環として行う「職場内リハビリテーション訓練」、就労支援機関と連携して行う職場実習、または会社のリハビリ出勤制度への協力支援等を通して、実際の職場において、適切な職務内容の検討や環境調整について、ご本人・職場と検討をします。

3.ご家族への支援

1)経済面でのご相談

休職時の所得保障(健康保険、労災保険、自動車保険等)や離職時の雇用保険などの手続きについて、ソーシャルワーカーと連携して情報提供を行います。

2)生活面でのご相談

日常生活の中でのご本人への対応方法の他、職業生活に向けた地域生活の設計、地域資源の活用等について、情報提供を実施します。

4.職場への支援

環境調整

休職時の所得保障(健康保険、労災保険、自動車保険等)や離職時の雇用保険などの手続きについて、ソーシャルワーカーと連携して情報提供を行います。

代償手段

日常生活の中でのご本人への対応方法の他、職業生活に向けた地域生活の設計、地域資源の活用等について、情報提供を実施します。

フォローアップ

就職・復職後にも上司の異動や職務内容の変更・業務量の増加等、職場環境の変化により、課題が生じることがあります。継続的なフォローアップを実施することにより、職場環境の変化による新たな課題に対して、早期に対応できるよう体制を整えています。

5.職業リハビリテーション・就労支援機関との連携支援

就職や復職後に安定した職業生活を送るためには、より専門的な職業相談・職業評価・職業準備訓練、職場開拓やジョブコーチ支援といった就労支援サービスを受けることが有益となる場合が多くあります。職能科では、ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、障害者職業能力開発校などの職業リハビリテーション機関や、地域就労援助センター、就労移行支援事業、就労継続支援A・B型事業などの就労支援機関と連携をしながら、就労支援を行っています。

6.就労支援の事例紹介

1)Aさん(40代、男性)

仕事中に事故に遭い、脳外傷になりました。急性期の病院を退院され、当病院に転入院しました。入院時より職能科で復職に向けた評価、訓練を行いました。さらに外来でも訓練を継続し、職場内リハビリテーション訓練を行い、受傷後10ヵ月後に復職しました。

2)Bさん(20代、女性)

自宅で脳出血を発症され、右片麻痺、失語症が後遺症として残りました。急性期の病院を退院され、当病院の回復期リハビリテーション病棟に転入院されました。職能科では、入院・外来を通して新規就労に向けた評価、訓練を行いました。さらに就労支援機関との連携によるジョブコーチ支援を受け、発症後15ヵ月後に事務職で新規就労されました。

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