神奈川県総合リハビリテーションセンター

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リハビリテーション

言語科

言語科とは

私たちは「ことば」によってお互いの意思を伝え合い、コミュニケーションを成立させ、ものを考えたり、感情を表わしています。「ことば」は生きて行くうえで欠かすことができないものです。
言語科はリハビリテーションの中で「ことば」について援助をしていくところです。病院内で「言語訓練」や「ST(speech therapyの略)」ということばを耳にしたことがあると思いますが、言語科では「ことば」による情報の伝えあい(コミュニケーション)に何らかの障がいを持たれている方へその能力の改善、促進のための支援、相談をしています。
また嚥下障害(水や食べ物を飲んだり食べたりできないこと)に対しても必要に応じて同様の支援・相談をしています。

言語障害とは

言語障害の方は人に何かを伝えたい時にうまく伝えることができなかったり、相手が言っていることを十分に理解できないことがあります。たとえば、「声が出ない」、「発音がはっきりしない」、または、「ことばをど忘れする」、「言いたいことをどう表現すればよいのかわからない」、「相手の言っていることがよく聞き取れない」、「聞こえるが意味がわからない」、「聞こえることの一部分しかわからない」、「だいたいわかるが、会話の中でピントのずれた応答をしてしまう」、などなど。これらは言語障害、広い意味ではコミュニケーション障害に含まれる症状です。

言語障害、コミュニケーション障害を抱える方、お一人お一人の障がいの重さやその内容は多岐に渡ります。そのため、言語科では、その方の症状に適した対応ができるよう心がけております。症状の評価を行なう際には、検査などによって得られる情報と共に、日常生活におけるコミュニケーションの様子など、ご本人、ご家族からお聞きする事柄も重要な情報となります。
ご本人やご家族と相談しながら評価を続け、支援内容を検討していきます。お一人お一人に合わせて教材も用意しております。
障がいをもつ方にとって、身近な人の存在が、やる気を高めるなど、良い影響を及ぼす場合が多々あります。ご家族が評価や訓練の場に同席して頂くことも原則的に問題はありません。

失語症について

失語症とは

私たちは、ふだんなにげなく言葉を聴き、話しています。この自由に言葉を操る能力はとても複雑な操作を要するもので、脳のなかの特定の部分(言語野)が大きな役割を果たしています。この言語野が何らかの原因で損傷をこうむり機能が低下すると、言葉を操る能力に障がいが生じます。これを失語症といいます。

言葉のすべての面に困難が生じます

失語症は,声や舌の運動や耳の聞こえの問題ではなく,脳の中での「言葉の操作」の問題です。このため、話すことと聴くことだけでなく,言葉全体にわたって、つまり、言葉を「話す、聴く、読む、書く」のすべてに,困難が生じます。

「話す」
言葉を思い出せなかったり、意図したのとは違う言葉が出てきて、言いたいことが伝わりにくくなります。
「聴く」
話しかけられたときにその意味がわかりにくくなります。
「読む」
文字を読んで内容を理解することが難しくなります。一般に仮名文字は難しく、漢字や数字の方が理解しやすい傾向があります。
「書く」
文字を思い出して書くことが難しくなります。
「計算」
四則計算が難しくなります。

失語症は、痴呆や記憶障害ではありません

失語症は、言葉が思い出せないだけで、記憶をなくしたわけではなく、また認知症とも異なります。
ですから、子どもに話しかけるような態度や、幼稚な言葉、不必要な大声での話しかけは、気持ちを傷つけることになりかねません。
言葉が「不自由」なつらさは、意思が通じない不便さだけではありません。楽しい語らいを通しての心の通い合いを奪われ、また、話せない、書けないことを恥ずかしく思い、自分に自信を失いがちになります。言葉でなくても心が通じ合うということ、前と同じようにその人格や判断力を頼りにしているということを、態度で伝えてあげてください。

ではどんなふうにコミュニケーションをとったらいいのでしょうか

失語症の方は、予期していないことを突然言われたり、いちどきにいろいろなことをたくさん言われると、混乱してしまいがちです。「~のことなんだけど」と、前おきをして、徐々にひとつずつ、理解していることを確かめながら話してください。実物・写真・カレンダーなどを見せたり、文字(数字や漢字の単語などが理解しやすいことが多い)で示しながら話すのも、理解を助けることがあります。 また、話したくても言葉が出てこない時には、せかさないで少し待ってみてください。脇からあれこれいわれるとますます混乱してしまうことがあります。話せた、通じた、という体験を多く持っていただくためには、家族のアルバムや、ご本人が興味を持っているもの、例えば野球の写真集などを手元において、それを材料に話をするのもよいと思います。

あせりやいらだちは禁物です。ご本人のペースに合わせた話し方をするように心がけてください。

運動障害性構音障害について

人が話をする時には、「声を出す」、「いろいろな音を出し分けする」、「音をつなげて抑揚をつける」ことなどを無意識のうちに行っています。誰にでも、 「その人らしい」話し方というものがあり、それは、発声発語器官(※注)の運動によってなされています。

※注 発声発語器官とは、唇や鼻の穴から喉、気管、気管支を通り肺にまでつながる器官を指します。
発声発語器官の運動のどこかに支障が生じた場合、話すことには変化が起こり、いつもの「その人らしくない」話し方となります。

運動障害性構音障害とは

病気や事故などで、発声発語器官を動かす筋肉、神経が障害されて起こる言語障害が「運動障害性構音障害」です。発声発語器官の一つ、あるいは複数の器官について、動く範囲が狭くなる、動く力が弱くなる、動くタイミングが合わなくなる、などによって症状が生じます。たとえば、上下の唇をしっかり閉じ合わせることができないと、唇を使って発音する音がうまく出せなくなる、声を出す時に喉に安定した力が入らなくなると声が震えたり、息がもれるような声となることがあります。それらのことと関連して、話す速さが全体に遅くなることも珍しくありません。

また、発声発語器官は同時に呼吸器官でもあり食事摂取器官とも大きく重複しています。このため、「運動障害性構音障害」をもつ方の中には、同時に呼吸や食事の摂取に障がいをもつ方もおり、全身状態が不安定だったり、疲労しやすい方もおられます。
一見、同じ様に見える症状にも、原因やメカニズムの違いによって、有効な対応方法が異なる場合があります。力を入れた方が大きな声が出る場合もあれば、力を抜くことで声が大きくなる場合もあります。症状に対して充分な評価を行ない、障がいをもつ方、お一人お一人に合った配慮ある対応が必要とされます。善かれと思ってもその時点では難しいことや大きな負担を強いるような対応は、控えることも大切です。

補助、代替コミュニケーション手段、コミュニケーション機器について

話しことばによるコミュニケーションが充分ではない場合、それを補う手段、あるいはそれに代わる手段が必要となることがあります。そのような手段のことを「補助代替コミュニケーション手段」、その道具を「補助代替コミュニケーション機器」と言います(以下、合わせて「補助手段、機器」と略します)。 「補助手段、機器」には、50音表や筆談など文字を使うもの、実物や実物をイメージしやすい写真や記号などを使うもの、また、身体の動きを利用したジェスチュア、手話なども含まれます。 「補助手段、機器」はそれを使う方の状態にあったものを選ぶことが必要です。 例えば、「運動障害性構音障害」と、「失語症」では、有効な「補助手段、機器」は異なります。また同じ障がいであっても、重症度や合併する他の症状によって、利用できる「補助手段、機器」は異なります。「補助手段、機器」を有効に活用していくためには、使う方の状態とともにコミュニケーション上のどのような問題に対して利用するのかを考えることが大切です。

現在言語科で提供している主な「補助手段、機器」を紹介いたします。

トーキングエイド

画面に50音表などが表示され、文字を選択して単語や文章を構成し、読み上げ機能により音声で伝えることができます。
(ipadなどのタブレット端末に種々のアプリをダウンロードして、コミュニケーション機器として使用することが可能となっています。トーキングエイド単体での製造は中止となっていますが、ipadにキーガードやプロテクターを装着することによって、従来のトーキングエイドと同様の使い方ができます。)

会話ノート

文字盤

コミュニケーションボード

Drop Talk (コミュニケーション支援アプリ)

自分たちで撮影した写真や既存のシンボルや記号、文字などを利用して表現することができます。読み上げ機能により音声で伝えることができます。

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