神奈川県総合リハビリテーションセンター

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脳外傷・高次脳機能障害

総合相談室

1.高次脳機能障害支援普及事業について

高次脳機能障害普及事業の図
平成18年度に障害者自立支援法が施行され、厚生労働省は都道府県が実施する専門的・広域的相談支援事業の一つとして高次脳機能障害者の支援を位置づけ、「高次脳機能障害者支援普及事業」(以下「支援普及事業」)を開始しました。(図1:クリックで拡大)なお、横浜市、川崎市では市独自で支援拠点の役割を担っています。

2.神奈川県総合リハビリテーションセンターの取り組み

1)拠点施設について

神奈川県では、平成13年度よりモデル事業に参画し、モデル事業初期の3年間は神奈川リハビリテーション病院が「拠点病院」となり、後期2年間は神奈川県リハビリテーション支援センター(地域リハビリテーション支援センター)が拠点施設でした。
神奈川県は、神奈川県総合リハビリテーションセンター内の「地域リハビリテーション支援センター」を拠点施設に指定しました。
「地域リハビリテーション支援センター」では、総合相談室のケースワーカー3名を高次脳機能障害支援普及事業及び高次脳機能障害地域支援事業(県単独事業)専任の「高次脳機能障害相談支援コーディネーター」(以下「コーディネーター」)として配置し、図2に示す事業を実施しています。

2)神奈川リハビリテーション病院との一体的な支援

神奈川リハビリテーション病院(以下「神奈川リハ病院」)に診断・評価を求めて受診する利用者が増加しています。
高次脳機能障害者の支援では、診断・評価の結果を経て、障害特性の把握と理解をもとにリハサービスや社会的支援を展開することが重要です。地域で生活をしている方や復職・復学をされた方で、ご本人・ご家族や職場等の周囲の方が以前との違いに戸惑い、神奈川リハ病院に受診され、そこからが社会的な支援の第一歩を踏み出す方もいます。
コーディネーターが社会的支援のプランを検討し、必要に応じて神奈川リハ病院が職能科・心理科・体育科などのリハ訓練を提供し、コーディネーターを含めたリハチームとして個々の方の支援を進めています。
なお、神奈川リハ病院では、高次脳機能障害者の外来グループ訓練「通院プログラム」を4カ月クールで年2回実施しており、障害認識の形成支援や社会適応力の向上支援を行っています。120名以上の方が利用され社会参加への有効なステップになっています。

3.拠点施設における事業の取り組み

1)啓発・研修事業

ア. 高次脳機能障害セミナー
神奈川リハ病院では、平成12年より高次脳機能障害の啓発および支援者養成のために「高次脳機能障害セミナー」(理解編と実務編)を開催しています。
イ. 高次脳機能障害セミナー(就労支援編)
高次脳機能障害者の中には稼働年齢層が多いために就労ニーズが高い状況です。
一方で高次脳機能障害者への就労支援を担う支援機関が限られていることや、就労支援機関についての情報が医療・福祉支援関係者に十分に知られていない状況があります。
そのため、平成18年度より、高次脳機能障害者の就労に関連する機関の紹介、および高次脳機能障害者への就労支援に関する研修として「就労支援編」を開催しています。
ウ. 小児後天性脳疾患セミナー
平成22年度より、小児の高次脳機能障害の障害や対応方法の理解について、医師やリハ専門職、かもめ学級(神奈川県立養護学校の訪問教育)教諭等の立場から情報提供を行うセミナーを開催しています。
エ. 市町村開催等の研修会への講師派遣
高次脳機能障害についての関心は、市町村や地域の支援機関でも徐々に高まりつつあります。神奈川県リハビリテーション支援センターでは、地域からの依頼により、研修企画の支援や専門職の講師派遣などを行っています。

2)相談支援コーディネーターの職務状況



表1

ア. 個別相談内容の内訳
相談支援コーディネーターは図3に示した職務を行っています。
平成23年度の相談内容の内訳では、表1に示すように受傷後の生活関連の相談や就労などについての相談が多くなっています。
相談依頼経由としては、神奈川リハ病院に診断・評価を求めて来院された方が、評価後にコーディネーターを紹介されるケースが最も多くなっています。

イ. 支援の展開
相談支援コーディネーターが実施する支援は、表1に示すように総合的な情報提供や制度活用の支援、それに社会生活の再構築のためのマネジメント支援まで幅広く、特に個別のマネジメント支援が大きな割合を占めています。平成23年度の訪問支援は年間173件です。訪問先は地域の相談支援事業所、通所施設などが多い状況です。

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