神奈川県総合リハビリテーションセンター

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脳外傷・高次脳機能障害

情報提供

脳外傷者の認知ー行動障害尺度(TBI-31)をご利用下さい!

脳外傷者の認知ー行動障害尺度(TBI-31)脳外傷による後遺障害は多彩で、運動麻痺などの身体機能障害だけでなく、視覚・聴覚・嗅覚などの感覚障害、記憶力や注意力低下などの認知障害、うつ気分や不安などの情緒障害、さらに易怒性・固執・不適切な状況判断などの行動障害があります。

脳外傷後遺症をお持ちの方の復学や復職を支援するには、それぞれの障害を正確に診断あるいは評価することが重要です。身体障害などと違って、認知の障害は外見から分かりにくく、神経心理学的検査など特別な方法が必要になります。神経心理学的検査法としては、有用性が広く認知された方法が各種あって、臨床心理士などの専門家によって検査を行います。

一方、何もやろうとしない・衝動的で自分をコントロールできない、などの社会的行動障害については、妥当性・信頼性を備えた検査法がありませんでした。行動障害は、ご家族や職場の同僚あるいは学校の先生方などに、障害の有無や程度・頻度などを教えていただかないと評価できません。したがって評価法を作ること自体が難しかったのです。

神奈川県総合リハビリテーションセンターは、高次脳機能障害支援モデル事業に参加して、評価や訓練・支援について各種の方法を試行しました。その活動の中から、脳外傷者の認知-行動障害を生活場面の観察に基づいて評価する「TBI-31」が生まれました。
「脳外傷友の会-ナナ」の会員およびご家族多数にご協力いただき、得られたデータを統計解析した結果、脳外傷後遺症の特徴的な行動障害として、1.「健忘性」、2.「易疲労性・意欲の低下」、3.「対人場面での状況判断力の低下」、4.「固執性」、5.「情動コントロール力の低下」、6.「現実検討力の低下」、7.「課題遂行力の低下」の7因子を見いだしました。

この評価票の取りまとめを行った久保義郎氏は、神奈川リハビリテーション病院の心理科・元職員で、現在は桜美林大学の教員となっています。久保氏は、神奈川県総合リハセンターの多くの職員と共同で作り上げた「TBI-31」が、医療や福祉の場で広く用いられるようになることを希望しています。

脳外傷後の高次脳機能障害者の支援を行ううえで、社会的行動障害の評価について関心をお持ちの方は、「TBI-31」の利用をご検討下さい。エクセルファイルには、「TBI-31」についての簡単な説明、質問票、集計票の3枚のワークシートがついています。集計票では 健常者100人の平均値からの隔たりを示すZ値の計算をし、さらに自動でZ値のレーダーチャート作成を行うことができます。

「高次脳機能障害がある人と一緒に働くために」

一緒に働くためにこのたび、小冊子「高次脳機能障害がある人と一緒に働くために」(全20ページ)を作成いたしました!!
この冊子は、高次脳機能障害をお持ちの方が仕事に就き、働き続けるための従業員向けの理解書としてお使いいただけるものとなっております。
この内容を掲載(PDFファイル1MB)いたしますので、ぜひダウンロードしてご活用ください。

「高次脳機能障害 相談支援の手引き」

神奈川県では、平成16年3月に策定した「かながわ障害者計画」において高次脳機能障害者に対する相談支援体制のあり方及び当事者・家族会活動への支援などを検討することとし、その一環として、平成17年度に「高次脳機能障害者地域支援推進検討事業」を社会福祉法人神奈川県総合リハビリテーション事業団に委託しました。
これを受け、県内の当事者・専門家を委員とする「高次脳機能障害者地域支援推進検討会議」を設置し、高次脳機能障害者や家族が身近な地域の相談窓口で高次脳機能障害についての相談支援が受けやすくするための「高次脳機能障害相談支援の手引き」を検討してまいりました。
この度、市町村や指定相談支援事業者の相談支援者向けの「高次脳機能障害相談支援の手引き」を作成いたしましたので当地域リハビリテーション支援センターのホームページ「高次脳機能障害支援」にPDFファイルとして掲載することとしました。ぜひダウンロードしてご活用ください。
なお、障害者自立支援法では、高次脳機能障害者のように広域的・専門的な支援を必要とする方たちの場合には、都道府県が市町村と連携して社会参加などの支援を行うことになりますので、本手引きが有効に活用され、高次脳機能障害者の相談支援の充実の一助となれば幸いです。
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